Windows VistaとWindows 7では、ひとつのHDD(ハードディスクドライブ)で複数のHDDがあるとOSに認識させる「HDDパーティションの分割と生成」がXPよりも簡単に、しかも安全に行うことができるようになりました。
(※あくまで比較して。HDDパーティション関連の作業は本来危険なものです)
HDDパーティションを分割・生成あるいは再編成をすることでドライブの数を多くしたり、容量を調整することが可能となります。OSやドキュメントファイルがある「Cドライブ」の容量が少なくて、主にデータ保存用となる「Dドライブ」が多すぎるパソコンというものもありますが、このような場合も自分の利用状況に応じて容量の再編成を行うことができます。
この記事ではそんな方々のためにHDDパーティションを弄る方法を解説します。
▲ディスクの管理画面
HDDパーティションとは?
HDDパーティションとは、ハードディスクが論理的に分割された個々の記憶領域のことを指します。
論理的とは、実際(物理的)にHDDという機械を分割することではなく、システム内でHDDの記憶領域を分割することで、HDDという機械はひとつでもシステムは2つ以上のHDDがあると認識し、HDDパーティションを別々に管理することができるようになります。
実際に2つ以上のHDDを用意したときと同じように、分けられた個々のパーティションは基本お互いに影響を与えることはありません。
分割することのメリット
Windowsの場合はOS(オペレーティングシステム)を『Cドライブ』と呼ばれる場所にインストールします。
このCドライブには、Windowsを構成する様々なデータを記録しているので、このドライブは必ず必要となります。ソフトウェアは標準設定で、Cドライブの中の『Program File』にインストールされるようになっています。有名なところで言えば、Windows Media PlayerやiTunesなどもここにインストールされます。
また、ユーザー名で作られる『ドキュメント』や『ダウンロード』といったファイルもここで生成されます。なので、インターネットでダウンロードしてきたファイルや、Officeソフトで保存先を標準のままにしている場合はここにデータが保存されます。
▲赤枠が「Cドライブ」、その横が「Dドライブ」
しかし、パーティションがひとつしか無い場合、このCドライブに何らかの理由で障害が発生するとドライブ全体にその影響があるので保存したデータが取り出せなくなる可能性があります
また、ウイルスなどのマルウェアに感染すると、その影響範囲はドライブ全体になるのでデータを破壊されたり、ネットへ情報が流出してしまたりする可能性が高くなります。
このような事態を極力避ける為に、HDDパーティションを分割する手法がとられています。
HDDパーティションを分割することで、たとえひとつのドライブに障害が発生しても、それが他のドライブにまで影響を与えることは少ないのでリスクを減らすことができるようになります。
ウイルスなどの感染も同じで、感染によりシステムがやられWindowsが起動しなくなったとしても、他のドライブに保存されていれば救出が比較的簡単になります。
Windowsをもう一度インストールし直すことを『リカバリ』といいます。このリカバリの作業を行うとCドライブはフォーマットされ、保存されているすべてのデータは完全に消去されます。これを防ぐ為にもドライブを分割し、ドキュメントなどのファイルをCドライブ以外の場所に保存をしておけばリカバリに巻き込まれる心配はありません。
(HDDのパーティションに関係なく勝手にHDD全体を初期化してしまうものもあります。説明書などで確認してみてください。)
Windows VistaとWindows 7では、一台のHDD上に3つのプライマリ パーティションと1つの拡張パーティションを作成できます。拡張パーティションには複数の論理ドライブを作成することが可能です。
HDDパーティションを弄る方法
「分ける」以外の操作もできるので「弄る」という表現にしました。
では、HDDパーティションを弄ることができる場所まで行ってみましょう。
パーティション弄りは危険な作業
具体的な障害として「データの損失、消去」「ドライブ障害」「パソコンの起動障害」などが起こります。
もし、現状のパソコン環境に満足しているのであれば無理に操作をしない方がよろしいかと思います。
「ドライブがひとつしかないのは不安」「ドライブ容量の配分に不満がある」「Cドライブの容量が足りなくてパソコン全体のパフォーマンスが落ちてしまった(他のドライブはまだ余裕がある場合)」などの理由で操作をする場合でも、障害が起こるかもしれないという覚悟をして操作をしてください。
ここまで理解できたら以下の操作を行ってください。
HDDパーティションを弄るための「ディスクの管理」画面を表示する方法はいくつかあります。
以下の表示方法1~3のいずれかの方法で「ディスクの管理」画面を表示してください。
▲表示方法1 : 「スタートメニュー」の「コンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択します。
▲するとコンピュータの管理画面が開くので、左のメニューから「記憶領域」の「ディスクの管理」を選択してください。
▲表示方法2(ホーム表示コントロールパネル):「スタートメニュー」から「コントロールパネル」を開きます。次に「システムとメンテナンス」を開き、その中にある「管理ツール」から「ハードディスク パーティションの作成とフォーマット」という項目があるのでこれを選択してください。
▲表示方法3(クラシック表示コントロールパネル):「スタートメニュー」から「コントロールパネル」を開きます。次に「管理ツール」から「コンピュータの管理」を選択します。すると表示方法1と同じコンピュータの管理画面が開くので、左のメニューから「記憶領域」の「ディスクの管理」を選択してください。
ディスクの管理画面が表示されたらあとは共通操作です。
▲「ディスク0」の部分がパソコンに内蔵されているHDDのパーティション状態です。画像では C に40GB、E に5GBが割り振られています(※実験環境のため容量は少なめです)。
結合のときは、ドライブが連続していなければならない
ここで割り振るときの注意事項です。HDDパーティションを弄るときの基礎知識です。必ず覚えておくこと!
パーティションが分けられていても、もとのHDDはひとつです。そして、各パーティションはそれぞれHDD内で必ず記憶領域が連続していなければなりません。
例えば上の画像のような構成になっている場合、CドライブとEドライブを結合することはできません。間にFドライブが存在し、CドライブとEドライブが連続していないからです。
この場合は先にFドライブを消去、さらにEドライブも消去し、連続した未割り当て領域にしたあとCドライブに結合させなくてはいけません。
また、ドライブを消去するとそのドライブに保存されていたすべてのデータは消去されます。注意してください。
他に、ドライブの生成時にはディスク容量によってかなりの時間を要する場合もあるので、時間があるときに操作を行ってください。
他のドライブからCドライブへ容量を割り振る
他のドライブの容量を減らしてCドライブに割り振ります。これが出来ずにパソコンのパフォーマンスが落ちている方はやってみるといいでしょう。ただし、「色々整理とかしたりいらないデータを消去してもなお足りない」という場合でやってみてください。
解説ではCドライブへ容量を割り振っていますが、どのドライブでも同様の操作で割り振ることができます。
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▲まず、割り振る元となるドライブを右クリックします。メニューから「ボリュームの削除」を選択します。これにより、選択したドライブは消去され「未割り当て」領域となります。
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▲警告がでます。ドライブ内のデータが消えてもいいのであれば「はい」をクリックしてください。
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▲ドライブが消去され「未割り当て」領域ができました。この領域は空っぽで他のドライブに結合させたり、新たにドライブとして使えるようにすることができます。
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▲今度はCドライブを右クリックし「ボリュームの拡張」を選択します。既存のドライブと隣り合わせとなる未割り当て領域を使い、ドライブ容量を拡張させます。
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▲ドライブの拡張ウィザードが表示されます。「次へ」をクリック。
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▲どれだけ容量を拡張するか決定します。選択されたディスク(未割り当て)をクリックで青くし、下の「ディスク容量(MB)を選択」で拡張したい容量をMB(メガバイト)単位で設定します。画像では5000MB(5GB)の未割り当て領域のうち3000MB(3GB)を使い拡張させます。
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▲ボリュームの拡張を完了するか確認します。もし、これでOKならば「完了」をクリックしてください。
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▲未割り当て領域が減って、Cドライブが3GB拡張されました。
未割り当て領域を新しいドライブにする方法はこの記事の「新しくドライブを作る、ドライブを分ける。」を参照してください。
新しくドライブを作る、ドライブを分ける。
新しいドライブを作りたい場合はここを参照してください。ここでは、Cドライブの容量を減らし、できた「未割り当て」領域を新しいドライブにフォーマットします。Cドライブ以外でも出来ますが、必ず減らしたドライブの隣の領域に新しいドライブができます。
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▲Cドライブのみしかない状態なので、Cドライブから5GBを切り離し、新しくドライブを生成します。
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▲Cドライブを右クリックし、メニューから「ボリュームの圧縮」(Windows 7は「ボリュームの縮小」)を選択します。これは既存のドライブの端の部分を空っぽの領域である「未割り当て」領域にし、これを使って新しいドライブを生成します。
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▲照会が終了したら、今度はどれだけ圧縮(縮小)するのかを指定します。「圧縮(縮小)可能な領域のサイズ」で示されているサイズ以上の圧縮は出来ないので注意してください。ここでは5GBを指定します。良かったら「圧縮(縮小)」をクリックします。
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▲Cドライブが圧縮(縮小)され指定した分の領域だけ「未割り当て」領域となりました。表示サイズが少し小さいですが気にしないでください。コンピュータ関連の数字では、M(メガ)やG(ギガ)の意味合いが少し違うので、その差分です。
(※5000MB÷1024=4.88GB)コンピュータにおけるSI接頭語の意味については以下の記事を参考にどうぞ。
ブログ内リンク:第10回 Windowsの32bit/64bitの違い
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▲未割り当て領域を右クリックし、メニューから「新しいシンプルボリューム」を選択します。これにより、未割り当て領域が新しいドライブとなります。
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▲「新しいシンプルボリューム ウィザード」が開きます。「次へ」をクリックします。
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▲ボリュームサイズを割り当てます。サイズは任意ですがここでは先ほど生成した未割り当て領域5GBすべてを指定します。
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▲ドライブ文字を割り当てます。本来ならば「Dから始まってE→F→G→・・・」が望ましいのですが、Dドライブは他に割り当てられてしまっているので E を選択します。ですが、これもDでなくてはいけない大きな理由もないので任意で大丈夫です。
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▲パーティションのフォーマットをするかどうかを聞いてきます。特に理由が無ければ初期状態で問題ありません。ファイルシステムは「NTFS」、アロケーションユニットサイズは「既定値」、ボリュームラベルは任意で設定すれば大丈夫です。ボリュームラベルは後からでも簡単に変更できます。できたら「次へ」をクリック。
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▲最後にウィザードの完了画面が出て最終確認をします。これで問題が無ければ「完了」をクリックしてください。
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▲パーティションが分けられ、新しくドライブができました。「スタートメニュー」の「コンピュータ」を開くと、確かに新しくHDDパーティションが認識され通常通りデータを保存できるようになりました。
まとめ
この記事ではHDDパーティションを弄る基本である「ボリュームの圧縮」「ボリュームの拡張」「ボリュームの削除」を行いました。
HDDパーティションは使い方次第でHDD障害のリスクを減らしたり、応用すればパソコン全体のパフォーマンスの改善、安定化を行うこともできます。
ただし、それなりに危険を伴う操作ですので注意とちょっとの覚悟をして望んでください。
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