Exact Audio Copy【通称:EAC】は、音楽CDを無劣化バックアップする際に利用される定番ソフトです。
CDをリッピングしてイメージファイルの作成が可能です。それだけでなく、エンコーダを通すことでMP3やAACなどの不可逆圧縮形式、「FLAC,APE,TAK,TTA」などの可逆圧縮形式で音楽を取り込むこともできます。
cueシートの作成、ギャップ検出、CDDB対応、CDへのライティング機能、トラック分割機能なども付いています。
Exact Audio Copyの初期設定は以前の記事にて解説しました。これが終わったら実際にCDから可逆圧縮フォーマットで音楽をリッピングしてみましょう。まだお読みでない方は以下のリンクから詳細記事へ飛びます。
ブログ内リンク:Exact Audio Copy - CDから可逆圧縮形式で取り込む方法「設定編」
この記事は可逆圧縮フォーマットのひとつ「TTA」で取り込む方法を解説します。
高音質で音楽CDを取り込みたい方はぜひお試しください。
CD情報の取得
EACオプションにて「不明なCDが挿入された時」に「自動的にオンラインfreedbデータベースにアクセスする」にチェックを入れてある場合は、CDを光学ドライブに挿入した時点でfreedbにアクセスしCD情報を自動取得します。
自動で取得できなかった場合は手動で取得します。
▲好きな取得方法を選ぶ
通常は「Internal freedb Routines(組み込みfreedbエンジン)」で取得します。ここは前回の設定編で詳しく書かれているので未設定の方はまずfreedbについて設定しましょう。
どうやってもCD情報が取得できなかった場合
freedbにそのCDの情報が無かったのが原因でしょう。この場合は面倒ですがCD情報を手入力するしかありません。
▲手動で入力する
必要ファイルのダウンロード
「ttaenc.exe」が必要になるので、まずはこれをダウンロードします。
TTAのダウンロード
○TAU Software * The World of True Audio
http://en.true-audio.com/
○ダウンロードページ
http://en.true-audio.com/Free_Downloads
上のページから「TTA compressor version ○.○.○」(※○はバージョン)をダウンロードします(リンクの数が多いので注意)。ZIPファイルですのでダウンロードが完了したら解凍しましょう。
「解凍って何?」という方は以下の記事を参考にどうぞ。
今回の記事は、Windowsの基本操作の一つである『圧縮・解凍』について解説しながら、実際に無料で公開されているソフトウェア(フリーソフト)を使用してこの操作を行ってみたいと思います。 今まで「セキュリティ」「パソコンの性能」「基本操作」な[…]
エンコードオプション
EACは、最初にCDデータをWAV形式でリッピング後、エンコーダーを通してエンコードさせるという手順をとります。
なので、まずメニューの「EAC」から「エンコードオプション」を選び、「外部エンコーダ」の設定をします。
▲メニューから「エンコードオプション」を選択
- 「エンコードに外部のプログラムを使用する」にチェックを入れる。
- 「エンコーダー別パラメーター」で「ユーザー定義エンコーダー」を指定。
- 使用する拡張子を「.tta」にする。
- 「エンコードに使用するプログラムをパスを含めて指定」で「参照」をクリック、「ttaenc-○.○.○.zip」(※○はバージョン)を解凍後、でてきたフォルダの中に「ttaenc.exe」があるので指定する。
- 「追加のコマンドラインオプション」に変換パラメータを入力。「%source% -e -o %dest%」と入力。
- エンコード前のWAVファイルを残しておく場合、「エンコードが終了したらWAVファイルを削除」のチェックを外す。
- 設定が終わったら「OK」をクリックし保存。
EACのバージョンによってコマンドラインオプションの記述方法が異なる
EAC 1.0 beta 1 以前までと、その後では仕様が変わりコマンドラインオプションの記述方法が異なっています。
○公式FAQ
http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/support/faq/
http://www.exactaudiocopy.de/en/index.php/2007/03/15/which-flags-can-i-use-in-the-external-compression-scheme-user-defined-mp3-encoder/
EAC 1.0 beta 1 以前の場合
FLACの圧縮率を指定するとき、EAC 1.0 beta 1 以前はコマンドラインオプションを「-○ %s」と記述します。
最新のEACの場合
最新のEACではFLACの圧縮率を指定するとき、コマンドラインオプションを「-○ %source%」と記述します。
最新バージョンのEACは「%s → %source%」という感じでコマンドラインオプションの記述を省略せずに使うようになりました。他のコマンドライン代入値も同じで「%a → %artist%」「%t → %title%」といった感じで記述します。記述を間違えると「無効なタグが見つかりました」というエラーがでます。
お使いのEACのバージョンを一度ご確認するとよいでしょう。(この記事では最新のEACで解説しています)
cueシートについて
リッピングする前に用語解説。
cueシート【キューシート】とは、楽曲の開始と終了までの構成を秒単位で記録するファイルです。他にもアーティスト名、楽曲名なども記録できます。拡張子は「.cue」
リッピングするとき、トラック単位で取り込む場合は、個々のファイルに情報が記録できるので特に問題はないのですが、CDデータを「丸ごとひとつのファイルにまとめて」リッピングする場合は、すべてのトラックが連続してしまいます。
これをトラック毎に分割するためのファイルがcueシートです。cueシートとリッピングした本体ファイルをセットで読み込むとトラックごと分割された状態で再生できます。
▲cueシートの中身
cueシートは拡張子を「.txt」にすることでテキストファイルとして開くことができます。
ギャップ検出について
ここはあまり突っ込むと面倒な話になるので簡単に。
ギャップとは、各トラックの前後にある無音部分のことです。挿入される部分によってギャップにも種類があります。
ギャップがあることで、曲のつなぎに無音が挿入され違和感なく音楽を楽しめるようになります。
- プリギャップ:トラック(曲)の直前のギャップ。
- ポストギャップ:トラック(曲)の直後のギャップ。
CDをリッピングした後のcueシート内で「INDEX 0」があったら、そのCDはギャップ情報があるCDとなります。
EACにもギャップ検出機能がついています。メニューの「アクション」から「ギャップ検出」を選択すればプリトラックギャップの検出を実行します。すると、メニューの「アクション」から「ギャップを無視」「前のトラックにギャップを追加(デフォルト)」「次のトラックにギャップを追加」が選択できるようになります。
特に理由がなければデフォルトのままで結構です。むやみに弄ると時間情報が無茶苦茶になります。
CDリッピング時にも自動で「プリトラックギャップ検出」が実行されます。
TTAでリッピング
さて、途中知っておくとよい予備知識などを挟みましたが、いよいよTTAでCD音楽をリッピングしてみます。
とはいってももうほとんどやることはありません。必要な設定はすべて終えましたので。
ひとつのTTAファイル + cueシート でリッピング
CDデータを丸ごとすべてひとつのTTAファイルにまとめ、トラック情報としてcueシートを出力する方法です。
メニューの「アクション」にある「CDイメージをコピーしCUEシートを作成」から「圧縮」を選択します。慎重にやりたい場合は、その下の「テストをしてからCDイメージをコピーしCUEシートを作成」を選択してみてください。
EACオプションの「ディレクトリ」で「毎回尋ねる」に設定している場合は、ここで保存場所を指定するウインドがでます。
プリトラックギャップ検出が実行された後、リッピングが開始されます。リッピング前にプリギャップ検出を実行した場合はすぐにリッピングが開始されます。
リッピング画面ではリッピングの進捗状況、経過時間、予想残り時間、リッピング速度、エラーなどが表示されます。傷が多いCDだとエラーが発生してリッピング速度が極端に落ちたり、正しくリッピングできなくなる場合があります。
コマンドプロンプト画面が表示され ttaenc.exe がリッピングしたWAVファイルをTTAにエンコードします。
エンコードが完了すれば、「ステータス&エラーメッセージ」ウインドが表示されます。
最後に「OK」をクリックすればすべての作業は完了です。
出力先に「○○○.tta」「○○○.cue」「○○○.log」(logファイルは出力設定しないと吐き出されない)があれば成功です。CDデータはすべて「○○○.tta」にまとめられ、再生ソフトに「○○○.cue」を読み込ませることでトラックを分割させながら再生できます。
再生方法は別の記事にてまた解説します。しばらくお待ちください。
(※因みに、この記事を書くときに使用したCDをWAVで保存したら「540MB」、TTAにエンコード後は「375MB」になりました。)
トラックごと個々のTTAファイルにしてリッピング
▲リッピングしたいトラックにチェックをします。
メイン画面左、上から二番目のボタン「選択したトラックをエンコードしてコピー」をクリックします。
プリトラックギャップ検出が実行された後、リッピングが開始されます。リッピング前にプリギャップ検出を実行した場合はすぐにリッピングが開始されます。
リッピング画面ではリッピングの進捗状況、経過時間、予想残り時間、リッピング速度、エラーなどが表示されます。傷が多いCDだとエラーが発生してリッピング速度が極端に落ちたり、正しくリッピングできなくなる場合があります。
トラック毎に一度WAV形式でリッピングし、ひとつ取り込めたらコマンドプロンプト画面が表示され ttaenc.exe がリッピングしたWAVファイルをTTAにエンコードします。
エンコードが完了すれば、「ステータス&エラーメッセージ」ウインドが表示されます。
最後に「OK」をクリックすればすべての作業は完了です。
TTAファイルがトラックごとに作成されていたら成功です。TTAはタグを記録できるのでMP3のように楽曲情報はファイルへ書き込まれてます。楽曲情報を編集するには専用のソフトが必要になります。
お勧めは「Mp3tag」です。使い方などは以下のサイトが詳しいので参考にどうぞ。
○Mp3tag - k本的に無料ソフト・フリーソフト
http://www.gigafree.net/media/mu/mp3tag.html
cueシートの編集
ひとつのTTAファイルでリッピングした場合、cueシートにすべてのCD情報が入っているので、リッピング後に手直ししたいときはこのcueシートを編集することになります。
cueシートは拡張子を「.txt」にすることでテキストファイルとして開くことができます。
▲cueシートの中身
- REM GENRE : CDのジャンル
- REM DATE : CDの発売した年
- PERFORMER : CDアーティスト名。トラックではその曲のアーティスト名。
- TITLE : CDのタイトル名。トラックでは曲名。
- FILE : 本体ファイルのファイル名
大事な部分の意味は以上です。手入力で編集した後は上書き保存し、拡張子を「.cue」に戻せば編集完了です。
TTAの再生
TTAは可逆圧縮フォーマットの中では新しいフォーマットで開発もまが十分にされていません。
そのため、再生できるソフトがかなり限られています。
このブログでは、再生ソフトとして「foobar2000」を解説したいと思います。他の可逆圧縮フォーマットへ変換する記事を書いた後に書くのでもうしばらくお待ちください。
さて、長くなりましたがこの記事はこれで終わりです。お疲れ様でした。
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