動画・音声データの質に関係する要素について

前回:動画・音声の規格について ~コーデック・コンテナ~

前回は、動画・音声データの形式を決める「コーデック」「コンテナ」について書きました。今度は、それらデータの「質」に関する各要素について書いていきたいと思います。


ビットレート

ビットレート【bit rate】、またはビット毎秒とは、データ転送レートの単位のことです。
1秒間にデータ転送路上のある地点を通過(転送)したビットの個数と定義されます。bps【bit per second】、b/sとも表します。他の呼び名として「ビット速度」「ビット効率」などがあり、どれも意味は同じです。

(ビットについてはこちらを参照:第10回 Windowsの32bit/64bitの違い

簡単に言うと「どれだけのデータ(情報)を転送できるのか」を表す単位です。この数値が大きいと、ある地点で通過したデータの量が多いということになり、動画や音声の質が上がります。データ量(つまり映像・音声情報)が多くなれば高画質、高音質になるわけですね。

SI接頭語も付けることができ、以下のような単位となります。(Wikipedia:SI接頭辞

  • ビット毎秒【bps:b/s】
  • キロビット毎秒【kbps:kb/s】
  • メガビット毎秒【Mbps:Mb/s】
  • ギガビット毎秒【Gbps:Gb/s】

データ転送レートの単位ですので、他にもインターネット回線の速度などに用いられます。バイト毎秒と呼ばれる単位も存在し、こちらはbを大文字にして「Bps」または「B/s」と表します。1バイト=8ビットです。

例えば、MP3の音声データだと最高「320kbps」までビットレートの数値を大きくすることができるようになっています。ビットレートの数値が大きいと転送されるデータ量も多くなるので、元のデータ容量も大きくなります。

【重要】「ビットレートが高い」という言い方は間違い

「ビットレートが高い・低い」という言葉をよく耳にしますが、実はこの言い方では不適切です。

ビットレートという言葉は単位であり物理量ではありません。これは「長さ(物理量)」と「メートル(単位)」の関係と一緒で、「長さが長い」とは言いますが「メートルが長い」とは言いませんよね。

ビットレートを表す物理量は「転送率」「転送速度」「転送効率」「伝送率」「伝送速度」「伝送効率」などと呼ばれます。とはいえ、この「ビットレートが高い」という言い回しも浸透してしまったのでそこまで気にすることはないでしょう。「正確には・・・」程度に覚えておいてください。

フレームレート

これは動画データ専用の値です。

フレームレート【frame rate】とは、単位時間あたりにフレーム(静止画:コマ)をどれだけ処理できるかを表す指標です。単位としてfps【frame per second】、または f/s を使います。

デジタルで言う動画というのは、連続的な映像として記録するのではなく、連続して写真(静止画)を撮り、それをパラパラ漫画のように高速で表示されることによって「あたかも動いて見える」ようにしています。人間の残像効果を利用した方法ですね。

その「一枚一枚の静止画」のことを「コマ」とか「フレーム」といいます。

フレームレートの値が大きいと、1秒間に処理されるフレームの枚数が多くなるのでより滑らかな動画になります。30fpsであるなら、1秒間に30枚のフレームが処理されています。
現在は、「30fps」または「29.97fps」が普及しています。60fpsまで大きくなると十分に滑らかな動画となり、15fps以下になるとカクカクした動画になります。

フレームレートの値を大きくすると、滑らかな動画になりますが、処理が重くなり容量も大きくなります。

【重要】無闇にフレームレートの値を大きくしても意味がない場合がある

フレームレートの値を上げると滑らかな動画になることは間違いないのですが、動画を表示させるディスプレイやモニターの「応答速度」と呼ばれる値が大きい(つまり低速である)と、フレームレートの値を上げても意味を成さない場合があります。

応答速度とは、信号の入力が実際に実行されるまでの時間のことです。単位はミリ秒【ms:1msは1秒の1000分の1秒】を用います。ディスプレイやモニターにおける「応答速度」とは、「黒→白→黒」と変化するときの速度を表します。(現在は黒、白以外の色も扱うため定義がぶれていますがここでは省略)

この応答速度が高速だと、映像(色)の切り替えが高速であることを意味します。高速だと、応答速度の値としては小さくなり「動きの早い動画でも滑らかで鮮明」に表示できます。低速だと値は大きくなり「動きの早い動画だと残像が発生しやすく」なります。

この応答速度が低速な場合、フレームレートの値が大きい動画を再生してもモニターの方が表示させるだけの性能を持っていないことになり、折角の滑らかな動画が残像だらけの動画になってしまいます。


と、一応警告しておきましたが、最近のディスプレイやモニターでは「5ms」~「10ms」前後のものが多いので60fpsくらいなら問題なく表示されるでしょう。まず60fps以上もある動画は非常に少ないので。古いモニターを使っている場合のみ少し注意してみましょう。

そもそも、フレームレートの値が大きすぎると人間の目の性能を上回ることもありますので(笑)
(もうひとつ、モニターには「フレッシュレート」という要素もあるのですがここでは割愛)

解像度

こちらも映像専用の要素です。

解像度【resolution:レゾリューション】とは、映像における画素の密度を表す数値です。「dpi(ドット・パー・インチ)」、または「ppi(ピクセル・パー・インチ)」という単位を用います。デジタルにおける「映像」とは、「非常に小さな色の付いた点(画素)の集まり」で表現しています。解像度の値が高いほどこの点の密度が高いことを意味し、映像はきめ細かくなり、自然なものとなります。

これと似た概念でピクセル(ドット、画素)を用いた解像度という概念もあります。こちらは単位としてピクセル【pixel】、あるいはドット【dot】、画素を用います。「1920×1080 pixel」「200万画素」などとよく表記され、この映像の場合は「横に1920個、縦に1080個の色の点(画素)があり、点の総数は2,073,600個(約200万個)である」ことを意味します。(※画素=ドット=ピクセル)


「dpi」を用いる解像度の方では、直線1インチ(=0.0254メートル)あたりの画素の密度を表します。
「pixel」を用いる解像度の方ではその映像に用いられてる画素の総数を表します。

正確な解像度の定義は前者の方です。ですが、後者の方も広く認知されています。混同しないよう注意しましょう。


▲出典:Wikipedia「解像度

画面解像度・比率

ディスプレイの分野では「画面解像度」というものもあります。これはピクセルを用いて表します。ピクセルを使うため、ディスプレイにある画素の総数を表します。また、「1920×1080 pixel」といった感じにかけ算表記にすることで「ディスプレイの縦横比率(画面アスペクト比)」も表すことができます。「1920×1080 pixel」であれば、そのディスプレイの縦横比率は「16:9」です。

映像の縦横比率とディスプレイの比率が合っていない場合、映像をフル表示(拡大表示)すると上下、または左右に黒い帯が表示されてしまったり、映像が引き延ばされてしまう場合があります。

画面アスペクト比によっては特別な名前が付けられています。以下、よく利用されているディスプレイのピクセル数と画面アスペクト比、それと名称です。(※ピクセル比は正方形がほとんどなので画面アスペクト比=ディスプレイの縦横比)

通称 横×縦
(横:縦)
ピクセル数
VGA 640×480 4:3 307,200
SVGA 800×600 4:3 480,000
XGA 1024×768 4:3 786,432
SXGA 1280×1024 5:4 1,310,720
WSXGA+ 1680×1050 16:10 1,764,000
FHD (フルHD) 1920×1080 16:9 2,073,600
WUXGA 1920×1200 16:10 2,304,000

Wikipedia:画面解像度より

さて、前回に続き基本知識が多すぎて挫折しそうになりますが頑張ってください。これを知っていると知らないのとでは動画・音声の再生や変換作業に大きな違いがでてきます。無駄なく質も保ったままの最適な方法で再生・変換できるようにするためには必要な知識ですので少しずつ覚えていってください。

次回は「色空間」について書きます。

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Comments [2]

動画サイズ(容量)に影響する3要素とかも参考になるかと。

参考リンクありがとうございます!

この記事も随分古くなってしまったので近々書きなおさないといけません。
昔はこの辺りのことも随分調べましたが、最近は疎遠になってしましました・・・
また色々調べ直さないといけませんね~

教えていただいたページは書きなおしたときに記事内に反映させておきたいと思います。
お忙しい中ありがとうございました。

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