HDDに代わる新しい記録媒体「SSD」とは何か


今、HDDに変わる新しい記憶媒体として注目されているものに「SSD」というものがあります。最近は多くのパソコンでも導入されているので名前を見かける方も多いでしょう。

パソコンに詳しい人は自分ですでに導入されている人もいらっしゃるかと思います。そうでない人でも、最近のパソコンにはSSDが搭載されているモデルが出てきているので知らずに使っている人もいるかもしれません。

そんなSSDですが、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)と何が違うのか分からないという人も多いかと思います。この記事では、SSDについてある程度でも理解できるよう簡単にして解説していきます。

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まずはHDDについて

SSDについて話す前に、まずはHDDについて解説します。今までの環境がどうであったのかを理解すれば、SSDについてもより理解しやすくなるでしょう。

HDDはデータを記録する機械

ハードディスクドライブ(英: Hard Disk Drive)、通称HDDはデータを記録する機械です。改めて言われなくても知っている人は多いでしょう。

HDDはパソコンの他にも、DVD・BDレコーダーやTV、PlayStationなどのゲーム機にも搭載され、映像や音楽など様々なデータを記録・保持する役割を担っています。

HDDの構造

HDDは以下のような構造をしています。
さらに詳細に知りたい場合は下記ロジテックさんの記事をどうぞ。

HDDの構造

磁気ディスク

磁気ディスク(または磁気プラッタ)は、実際にデータを記録している円盤状の部品です。磁気を帯びた物質を付着させています。磁気ヘッダが発生させる磁界に、この磁気を帯びた物質(磁性体)が反応してデータを記録したり読み込んだりしています。

素材はガラスやアルミ合金などを使用しており、非常に硬いです。これは、熱や振動などの影響でディスクが変形し、データが読み書きできなくなることを防ぐためです。

直径はHDDによって異なります。デスクトップパソコンなどに広く場所が取れる場合は3.5インチ、ノートパソコンなど小さくしたいものには2.5インチのものが搭載されていることが多いです。また、容量を上げるため複数枚搭載されているものが一般的です。

磁気ヘッド

磁界を発生させて磁気ディスクにデータを記録したり読み込んだりする部品です。

スイングアーム

磁気ヘッドを左右に移動させるための腕です。

アクチュエーター

位置決め装置。磁気ヘッドを任意の場所に移動させる装置です。

スピンドルモーター

磁気ディスクを回転させるモーターです。HDDにもよりますが、一般的なHDDでは一分間に7200回転(単位:rpm)、または5400回転しているものが主流です。

データを記録する仕組み

磁気ディスクには磁性体が付着しています。この上を磁気ヘッドが通り磁界を発生させると、磁気ディスクに付着している磁性体が磁界に反応してN極とS極の向きを変えます。

このN極とS極の向きが実際にHDDへ書き込まれるデータです。
コンピューターは0と1(電気が流れているか否か)で処理を行っています。これとN極・S極の並び方にうまく対応させてやれば電気信号に変換できますので、結果的にデータが記録できる、という仕組みです。(※単純にN極=0、S極=1という訳ではありません。)

HDDの利点

HDDの利点は、大容量&安価である点です。市販で売られているものでも1TB~4TBという、数年前までは考えられなかった容量のものが、1万円~3万円前後で買えてしまいます。

大量にあるデータでも一括して保存しておいたり、またそれらのバックアップを取るため二重三重に保護をかけたいときでも、比較的投資額が少なくなります。現在でもデータを保存する媒体として人気です。

容量の最大値も年を追うごとに上がっていきています。今後もHDDはどんどん大容量化していくことでしょう。

HDDは精密機器、弱点も多い

磁気ディスクと磁気ヘッドの間には隙間がありますが、この隙間の長さはなんと10nm以下(ナノメートル、1nmは10億分の1m)しかありません。非常に精密に動いているので、HDDというのは急激な温度変化や高温多湿な状態、振動や衝撃などにとても弱いです。

振動などの理由で磁気ディスクと磁気へッドが大きく接触すれば物理破損も起こし、HDDが壊れてしまいます。磁気ディスクが非常に硬質になっている理由も、変形や振動に対して強くするための対策なのですが、それでも弱点であることには変わりありません。(高温多湿環境ではアクセスをコントロールするチップの劣化が早くなるそうです。これは後述のSSDも同様。)

HDDの断面

HDDの推奨動作温度は、メーカーにより上下しますが「最低が0℃」「最高が50~60℃」と表記しているところが多いです。0℃以下または50℃以上の環境での使用は避けたいところです。

※例として、HDD製造メーカー大手のウェスタンデジタル(WD製)のHDDの技術仕様を見ると、環境仕様として動作時では「0℃~60℃」となっています。

また、空気中に浮いているような埃一枚でも磁気ディスクが磁気ヘッダに引っかかった埃と擦れて傷つき致命的なダメージを受けるため、HDD内部には絶対に埃が入らないよう工夫されています。このため、しっかりした設備がない場所でHDDを分解すると正常に使える状態で元に戻すことはほぼできなくなります。補償なども対象外になります。

因みに、HDDの寿命は使い方やメーカーにもよりますが5年からよくて8年前後と言われています。ただ、扱いが雑だったり、運悪が悪いと2年そこらで故障となる場合もあります。精密機械ですし消耗品として考え、過度に信頼しすぎない方が無難です。いつ起こるかわからない突然の不具合に備えて、データのバックアップはしっかり行いましょう。

SSD

では、この記事のテーマである「SSD」についてみていきましょう

SSDもデータを記録する機械

ソリッド・ステート・ドライブ(英:Solid State Drive)、通称SSDもHDDと同じくデータを記録する機械です。パソコンなどに搭載され、HDDの代わりとして様々なデータを記録することができます。2008年頃から一般にも普及し始めました。

いまでは標準で搭載されていてるパソコンも多くなりましたね。

SSDの仕組み

SSDは、デジカメなどに使われているメモリカードの容量を大きくしたものと考えて貰えば概ね大丈夫です。HDDと異なり磁気ディスクがなく、代わりに半導体メモリ(フラッシュメモリ)にデータを記録します。もちろん、パソコンに取り付けるものなのでOSはメモリカードではなく今までのHDDと同様に大容量ストレージとして認識するよう作られています。

SSD

▲HDDのように磁気ディスクも磁気ヘッドもモーターもありませんね。メモリカードやUSBメモリと同じ構造をしています。

データも磁気ではなく電気的に保存しています。半導体メモリに電流を流し、電荷を蓄積させたり放出したりしてデータを記録しています。物理的に大きく動くモーターなどの機構がないので音などは一切鳴らなくなりました。

SSDの利点

SSDの最大の利点は、データをやりとりする速度がHDDと比べて圧倒的に早いことです。

HDDは、目的となるデータ(あるいは書き込みたい場所)に行くためには磁気ディスクを回転させなくてはいけないため若干無駄があります。

しかし、SSDは目的とする場所に直接電気を流して行けばいいのでとても早くデータをやりとりすることができます。SSDにOSをインストール(導入)して起動すると、環境にもよりますが30秒~数分もあれば起動完了してしまうほど早くなります。

また、磁気ディスクを回転させることもないので、「音が静か」「省電力」「振動に強い」「軽量」などの利点があります。近年の技術革新により寿命問題もクリアされつつあり、いまではHDDよりも製品寿命が長いとされています。大変気軽に導入できる時代となりました。

SSDの欠点

良いことずくめのような気もしますが、もちろん機械なので欠点もあります。

HDDよりまだ値段が高い

SSDはまだ「HDDと比べて高価」です。2018年現在ですが、一万円もあればHDDなら2~3TBも楽に買うことができますが、SDDだと500GBで一万円という価格設定です。

ポータブルSSDという製品もでており、HDDタイプを比べて圧倒的なアクセス速度が魅力ですが、240GBタイプのものでも一万円前後とかなり高価です。1TBの大容量SSDも発売されていますが、ここまでくると2万~5万円と中々のお値段となっています。

書き込み回数の上限(今はあまり気にしなくてもOK)

また、フラッシュメモリという部品は、その特性上どうしても書き込み回数に上限があります。フラッシュメモリは、記録部(絶縁体となる酸化膜)に電子を貫通させて書き込みや消去を行います。何度も書き込みを行うと記録部が劣化して最終的に書き込み不可になってしまうのです。

ただ、素材や内部構造の改良の他、同じ領域に何度もデータを書き込まず満遍なく書き込む「ウェアレベリング」など、コントーラーの技術があがって製品寿命を延ばしています。これらの技術により、現在ではSSDの書き込みに関する寿命に関してはHDDと同等またはそれ以上になったと考えられており、ほぼクリア状態となりました。一般家庭での使い方であればこちらは気にしなくてもよいでしょう。

データ保持期間

フラッシュメモリが持つ、書き込み寿命以外のもうひとつの寿命がこの「データの保持期間」です。フラッシュメモリは電荷を維持するために定期的な通電を必要としており、長期間一度も使わないとデータが消えてしまう性質も持っています。

この保持期間については議論が多くあり一概には言えませんが、「5年~10年」くらいというものが多かったです。ただ、すでに長く利用してきたフラッシュメモリなどは記録部分の劣化もあり数ヶ月しかデータを保持できなかったり、また高温多湿な状態でも保持期間が短くなるようです。

どちらにせよ、電荷が放出されてしまうと突然データが読み込めなくなりますので、SSDなどのフラッシュメモリ系は長時間のデータ保持は向いていないということになります。

パソコンに搭載されたSSDならば電源を入れれば通電されますので、普段使いでは特段気にしなくてもよいとは思いますが、外付けのSSDやUSBフラッシュメモリなどは少し注意した方がよいでしょう。ただ、5年以上も使い続けてきたSSD搭載パソコンがあるようなら、安全を考えればそろそろ買い換え時かもしれません。

この点ではまだまだHDDやDVDなどの光学メディアに分があります。特に光学メディアとなれば、こちらは紫外線などに弱いですが ” 適切に管理すれば ” 数十年近くの保持期間があるらしいので、長期間保存にはこちらが向いていると思います。

※余談ですが、環境耐性などを上げた長期保存用のブルーレイディスク「M-DISC」というものが発売されており、専用の書き込みドライブが必要ですが開発者曰く「1000年は保つ」らしいです。

特性を理解して使っていこう

SSDが普及し始めてから10年近く経ちました。その間に多くの改良がされてきましたので、登場初期にあった「プリフリ」や寿命問題は解消されたと考えて良いでしょう。もう気軽に導入しても製品自体の不具合の心配は皆無になりつつあります。

ただ、HDDと比べてまだ高価であることには変わりありませんので、「アクセス速度を優先するか」「大容量のものを安価で使いたいか」など、どういった場面で使いたいかを考えてHDDかSSDかを選んでみると失敗が少なくなるかと思います。