第22回 パソコンが正常に動作する温度や湿度などはどれくらいか?

突然ですが、パソコンを利用しているお部屋の環境はどのようになっていますか。

何度も言っていますがパソコンは精密機械なので温度や湿度、その他様々な要因で故障を起こします。パソコンを正常に長く使っていくためには様々なことに気を遣っていかなければいけません。

今までは論理的(データ的)な適正環境やメンテナンスを中心に解説してきました。今回の講座では、物理的な(機器的な)適正環境、特に温度と湿度に焦点を当てて解説していきます。


記事を読む前に

パソコンが正常に動作できる環境というのは、実は決定的なデータがありません。それはあまりにも部品やメーカーが多く、それぞれ適正環境が異なるからです。よって、これから解説する適正環境というのは「一般論」ということになります。ご了承ください。

とはいえ、大きな違いはないので神経質にならず「へ~そうなのか、うちのところはどうだろう?」といった感じでお読みいただければ結構です。

適正湿度

まずは前提部分、湿度の場合です。これはずばり、結露しない湿度と温度にしてください。

メーカーが示している湿度は「湿度20%~80%」がほとんどです。しかし、※として必ず「ただし、結露しないこと」と書いているはずです。パソコンは電気で動いているのですから、結露して水滴がつくとショートしてしまうからです。

で、本題「結露しない湿度と温度」とはどれくらいなのか。

中学や高校などで習った方も多いかと思いますが、結露する湿度は温度に依存します。
飽和水蒸気量とか覚えていますか?まさにそれですね。

温度が低ければ低いほど空気中に貯めておける水蒸気の量が少なくなっていき、高いと多くなります。結露は温度の差によってこの飽和水蒸気量が変化してしまうのが原因です。寒い場所などでパソコンを使用していると、内部の高温部分と外部の低温で結露を起こしやすくなります。

結論を言うと室内の湿度も大事ですが急激な温度変化を起こさないのが結露を防ぐ一番の対策法です。
なので「この湿度なら大丈夫!」というのはありません。結露が起こらなければメーカーが示すとおりの湿度、起こりそうな環境であれば部屋とパソコンを暖かくし、除湿器などを設置することが大切です。

特に梅雨の時期は気をつけましょう。

適正温度

パソコンにとって「温度」という要素はとても重要です。温度によっては故障率が数倍に上がってしまう実験結果がでるほどパソコンは温度に影響を受けやすいです。

従って、ここを適正に管理できればパソコンの寿命は飛躍的に伸びることでしょう。

しかし、単純に起動しているときの温度がこれくらいだから大丈夫というわけでなく、起動時の温度や動作中、高負荷時のパソコン内部の温度など細かく見ていく必要があります。順を追って見ていきましょう。

【重要】パソコンは低温にも弱い

「パソコンは高い温度だと故障しやすい、できるだけ低温がよい」というのは広く認知されていると思います。部品が変形したり、機器が暴走してしまうからです。

しかし、パソコンは低温すぎても故障率が高くなります。パソコンは高温だけでなく低温にも弱いのです。

特にモーターで駆動するパーツ、例えばHDDなどは低温と高温両方に弱いです。また、電源部分(電源ユニット)マザーボード(大本の電子回路基板)なども低温には弱い設計になっています。

この考えを念頭にいれて記事を読んでみてください。詳しい内容は後々解説していきます。

1.起動時の室温

パソコンを起動させる時の室温です。正確には「パソコンが起動するときのパソコン全体の温度」です。長くほっといたパソコンは室温と大体同じなのでこのような言い方にしました。

パソコンは低温にも弱いと先ほど前置きで簡単に説明しました。
これは、パソコン内にある様々なパーツが低温に弱いからです。

また、これらの話は、結露しないような環境であることが前提です。

例えばHDD

室温があまりにも低い温度、例えば5℃なんていう環境で起動するとHDDに大きな負荷がかかってしまい、寿命を縮めます。室温5℃の状態で無理矢理起動させ続けているとHDDの故障率が室温25℃の時の6倍以上になるというデータも見かけました。(これはGoogleの白書にて書かれていました)

HDDの磁気ディスク(プラッタ)の回転軸に使われている流体動圧軸受(Fluid Dynamic Bearing:FDB)のグリス粘度が高くなることで、ディスクの回転不良(スピンアップがしないなど)や回転力制御機能(トルク制御機能)が多発し、データ破損・不良セクタの発生確率が上がるのが主な原因です。

HDDの構造についてはこちらの記事(HDDに代わる新しい記録媒体、「SSD」とは何か)を参照してみてください。

起動時のHDDの適正温度は室温20℃~30℃といわれています。

HDDの適正温度 起動時のHDDの適正温度は室温20℃~30℃
低温下での故障原因 グリス粘度が高くなることによる磁気ディスクの回転不良など

例えば電源

パソコンのパーツの中で一際寒さに弱いのが電源部分(電源ユニット)です。
電源ユニットの中には電解コンデンサが入っています。この電解コンデンサの特性として「低温だとコンデンサとしての機能が低下する」というものがあります。これが電源ユニットが低温に弱い原因で、低温でパソコンを起動すると出力不足でパソコンが起動できないという症状がでてきます。

パソコンの修理サポートを受け持っている人のブログでは冬の朝だけパソコンが起動しないという話を何度も見かけました。

電源ユニットの場合は室温が10℃以下だとこのような症状がでやすくなるようです。
因みにマザーボードも電解コンデンサを使っているのでこれらも比較的低温に弱いです。

電源の適正温度 起動時の電源の適正温度は室温10℃以上
低温下での故障原因 コンデンサの機能低下による出力不足

冬場の朝一など部屋が寒い場合は、起動する前にできるだけ部屋を暖めてから起動しましょう。
ただし、急激に温めると温度上昇に対してパーツ部分の温度上昇がついていけなくなり、結果室温とパーツ部分に温度差が生じて結露してしまいショートする原因になるので、結露しにくい湿度にするか、または室温を上げてもすぐに電源投入せずしばらく待つということも必要になるかと思います。

因みに高温の場合ですが、異常をきたすほど室温が高くなることは滅多にないので(50℃とか)ここでは省略します。

2.動作時

各パーツによって適正温度の幅が違いますが、パソコン全体で言うと室温10~35℃が適正な利用環境と一般にいわれています。一般的に人間が快適に感じる環境であればパソコンも快適であると思ってくだされば問題ありません。

各パソコンメーカーの表を見てみると大体動作時の適正室温は「5℃~35℃」や「10℃~35℃」といったものが多いので、10~35℃くらいなら大丈夫だろうといわれているのでしょう。

とはいっても5℃~10℃という室温でパソコンを利用するのは控えた方が良いでしょう。室温は20℃~25℃、パソコン本体の温度は「30℃~40℃」になっているのが一番良い条件だそうです。

各パーツごとで分けると、CPUは40℃~80℃HDDは30℃~50℃くらいだそうです。ただし、最高値でぎりぎり大丈夫だ!という考えはやはり少し不安です。なるべく余裕をもった温度にしたいところです。

温度が高すぎると・・・

パソコンの温度、正確にはCPUやHDDなど各パーツの温度が高すぎると様々な不具合が発生します。
具体的にはパソコンの起動不良、動作の不安定化、データの損失、機器の物理破損などが不具合として起きます。

主にそれらは「部品の変形・変質」「電気情報の変質」「熱暴走(電流の流れが正常にならなくなり、エラーをだしてしまう現象)」などが原因で起きます。これにより寿命が極端に落ちます。

例えばHDD、60℃以上まで温度が上がると磁気ディスクの表面が変形して情報が消えてしまったり、磁気情報が正しく書き込まれなくなったり、クラッシュしてしまったりする可能性が高くなります。これにより寿命が1/5になるとも言われます。

その他にもCPUは熱暴走を起こしやすくなり、メモリーはエラーを出しやすく、電源は正しく電力供給ができなくなります。

特にCPUは温度が高くなりますが、その分安全設計がされており、一定以上の温度になると処理を遅くして冷却したり、また動作を強制終了させるようになっています。なので、部品の変形が起こるほど温度が高くなることは通常ありませんが、場合によっては処理を強制的に止めるのでパソコンの電源が落ちます。もちろん、作業途中のデータは保存されないので、操作中に急に電源が落ちるようでしたらCPUの温度の確認をオススメします。

逆に温度が低すぎると・・・

上の方でも書いた通り、低温すぎてもモーター系のパーツが不具合を起こしやすくなります。パソコン本体の温度が30℃より低い温度になっている方は室温が低すぎるか、冷却のしすぎということになりますのでもう少し温めた方がいいかもしれません。

CPUの適正温度 CPUの適正温度は40℃~80℃
高温下での故障原因 部品の変形、電気情報の変質、熱暴走など
HDDの適正温度 HDDの適正温度は30℃~50℃
高温下での故障原因 ディスクの変形、磁気情報の変質、コントロールチップの熱暴走など
電源の適正温度 電源の適正温度は10℃~60℃
高温下での故障原因 コンデンサが正常に機能しなくなり、電源供給が不安定になる

3.高負荷時

動画を見ていたりしてパソコンに大きな負荷を与えているとき、CPUなどが頑張り始めるので多くの熱を発生させます。このときのパソコンの温度もできれば40℃前後であることが望まれています。
(各種パーツも、前述した通りの温度範囲内であることが理想)

パソコンには各パーツの温度上昇を防ぐためのファンがついていて、外気を吸い込んだりして冷却しています。
(因みに空気ではなく水などで冷やす「水冷」やガスで冷やす「ガス冷」もあります)

これらがうまく働いていなかったり性能が悪かったり数が少ないと、温度上昇に対してファンの冷却が間に合わずパソコンの温度が50℃とか60℃にまで上がってしまうことがあります。

また、夏場の場合は室温はもともと高い状態になっているので、外気を吸っても冷却がうまくいかず温度が上がりやすくなります。この季節は特に注意が必要です。

冷却がうまくいかない原因

ファンの性能や数にも左右されますが、その他にパソコンの設置場所や埃が原因となる場合もあります。

直射日光に当たっているともちろん温度はあがりますし、紫外線もパソコンにとっては有害なので劣化が早くなってしまいます。またほこりっぽい場所、絨毯やカーペットがある部屋では埃がファンや排気口・吸気口に詰まって空気の流れができず温度が上がっていきます。静電気を帯びやすいのですから当然ですね。

喫煙者の方が居る場合は煙草から出るヤニなども原因となります。

廃熱がうまくいっていない場合も・・・

また、廃熱がうまくいっていない場合も考えられます。布団の上であったり、埃などで排気口が塞がると廃熱がうまくいず、パソコン内部の温度はどんどん上がっていきます。負荷がかかっている状態ならどんどん熱くなっていきます。

布団の上のような断熱された場所では温度が上がりやすいので、ちゃんとした机の上でパソコンは利用しましょう。

対策

ファンの性能や数は、パソコン本体をあけて交換や増設をしなくてはいけないので難しいかもしれません。詳しい人に頼んだり、そのようなサポートをしてくれるお店を探してみるといいいでしょう。小さい扇風機や冷却シートを買って取り付ける手もあります。

埃には吸気口にフィルターを付けるとよいでしょう。注意点として、排気口に付けても意味ないので空気を吸う吸気口にフィルターを付けましょう。長く使っていたパソコンであればパソコンのカバーをあけて中を掃除してみるのも効果的です。

以下の様な製品を買って取り付けてみてください。

温度上昇の原因 ほこりやヤニなどが吸気口、排気口へ詰まり空気の流れ(エアフロー)が悪い。直射日光に当たっている。室温がそもそも高い。など
対策 吸気口、排気口の掃除はこまめにする。フィルター・冷却ファンなど購入・設置する。ちゃんとした机の上で操作する。

実際にHDDとCPUの温度を見てみる

室温は普通の温度計で見ればわかりますし、ます人間が快適と感じる温度であればパソコンにとっても問題ない室温となります。ただし、パソコン内の温度は触っただけでは正確に分かりません。

そこでフリーソフトを使います。CPUとHDDの温度を測定してパソコン内の温度を推定します。以前利用した「Lhaplus」と同じように使っていきましょう。
今回使うソフトはこちら「Speccy」です。

Speccy

Speccy

開発者サイト(Piriform Ltd.)
http://www.piriform.com/

開発者サイトからダウンロード
http://www.piriform.com/speccy/builds

対応OS

Windows 2000, XP, Vista, 7(64bit版にも対応)

このソフトはシステムインフォメーションツールのひとつです。「OS」「CPU」「メモリ」「マザーボード」「グラフィック」「ハードディスク」「光学ドライブ」「オーディオデバイス」「ネットワークアダプター」等の詳細情報を機器ごとに分かりやすく表示してくれるソフトです。

かなり詳しく表示してくれるので、表示のほとんどがちんぷんかんぷんかと思います。今回はそれでいいので温度だけに注目してみましょう。このソフトは英語のソフトですが、日本語表示にもできるので安心してください。

上記リンクからダウンロードページに行くと上に「インストーラ版(Installer)」、下に「ポータブル版(Portable)」があるのが分かります。今回は温度だけを調べるのでインストール不要なポータブル版をダウンロードしてきましょう。因みにポータブル版はパソコンにインストールしないのでUSBフラッシュメモリなどで持ち運ぶことができます。

ダウンロードした圧縮ファイルを解凍すると以下のファイルがでてきます。

Speccy 実行ファイル

「Speccy.exe」が32bit版、「Speccy64.exe」が64bit版の実行ファイルです。お使いのOSに適した方を実行してください。
するとSpeccyが起動します。インストール不要なのでソフトが不要になったらファイルを消去するだけでいいです。

日本語化するには上のメニューから「View」→「Options...」を選択します。「Language」という項目があるので「Japanese」を選択すれば日本語表示になります。

Speccy

▲左のサイドメニューから「要約」を選ぶと各項目の情報がまとめられた表示になります。上の画像赤枠を見てください。これが現在のCPUとHDDの温度です。摂氏表示の右横にある緑のボタンを押せば温度の時間変化を見ることができます。

CPUの温度が50℃と高めなようなイメージがありますが大丈夫です。CPUはとても熱を発するのでこれくらいの温度になります。適正温度は40℃~80℃くらいです。50℃前後が個人的な理想です。最高80℃といっても最高値ですので、高負荷状態でも60℃~70℃くらいでないとまずいかもしれません。型番によっては100℃までテストされているCPUもありますが、常時想定されている温度ではないのでやはり余裕は持っておきたいところです。

HDDは39℃と適正動作範囲内です。HDDも熱を発するので少し温度が高くなります。つまりパソコン内部の温度はHDDの温度くらいか少し低い、大体35℃前後であると言えます。適正動作範囲内です。

これらの数値が異常に高い場合は、室温が高い、ファンがうまく動作していない、廃熱がうまくいっていないなどの理由が考えられます。結果、パソコン内部 / 各パーツの温度も相当高くなっていると考えることもできるのですぐ何かしらの対策を講じた方がよろしいでしょう。

動画などを再生してみると、CPUに負荷がかかって温度が上がっていきます。この上がり幅があまりにも大きい場合は同じく冷却や廃熱がうまくいっていない場合があるのでこちらの場合も注意した方がいいでしょう。

このソフトは他にも様々な場所の診断を行うことができます。何かトラブルが発生した場合は、疑われる場所の詳細を調べて検索なり人に聞いたりすると解決するのが早くなるでしょう。

以下、このソフトの詳細な使い方を解説した記事です。参考にどうぞ。

ブログ内記事:HDDやCPUの温度などを表示!見やすいシステムインフォメーションツール「Speccy」

この記事のまとめ

今回はパソコンの利用適正環境、特に温度と湿度について解説してきました。パソコンを過酷な環境で動かすと寿命が急激に短くなるので注意してください。

  • パソコンの適正動作環境を知り、その範囲内で利用する。

どうも環境が厳しいと感じた場合はできるだけ早く改善しましょう。

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Comments [2]

>因みに高温の場合ですが、異常をきたすほど室温が高くなることは滅多にないので(50℃とか)ここでは割合します。

×割合(わりあい)
◯割愛(かつあい)

ご指摘ありがとうございます。
当該箇所を修正しておきました。

この記事を書いてしばらくした後、「割愛」の意味を調べてみたら
私がいままで思っていた意味と違っていたので最近は「省略」という言葉を
使うようにしています。今回も「省略」としておきました。

ありがとうございます。

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