iTunesの音楽取り込み設定を見直し、高音質で音楽を保存しよう

iTunes

「iTunes」は皆さんもご存じアップル社が無料で提供する音楽管理・再生ソフトです。
iPodやMacなどを使用している方には必須のソフトになりますね。そうでなくても無料でここまで高機能なプレイヤーが提供されているので、それらアップル商品を持ってないなくても十分に使えます。

このiTunesは音楽CDからの音楽データ取り込み機能(リッピング機能)も持っているため、このソフトでCDから音楽を取り込んでいる方も多いでしょう。(iTunesでは取り込むことを"インポート"という言葉で使っていますね)

しかし、その取り込み設定はあなたの用途にちゃんと合っているものでしょうか。気にしたことはありますか。
iTunesでは取り込むときの音楽形式やビットレートの変更も可能です。今回はその変更の仕方を解説します。

※記事タイトルは「高音質」が主題になってますが、内容は特に優遇していません。

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環境・インストール

iTunesバージョン

この記事で使っているiTunesのバージョンは「12.5.1.21」です。

最新版はアップルのサイトで入手できます。OSによって「32bit版」「64bit版」が自動認識されて最適なセットアップファイルがダウンロードできます。メールの受け取りをしたくない場合はダウンロードボタンを押す前にチェックを外しましょう。

ダウンロード

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音楽形式やビットレートなどの考え方を書いた記事です。よくわからないという方は事前に読んでいただければと思います。

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iTunes初期の取り込み設定(エンコード設定)では「iTunes Plus」という設定になっていて、「AACエンコーダ」を使用した「128kbps(モノラル)/256kbps(ステレオ),44.100kHz,VBR」になっていると思います。

AACやMP3などの非可逆圧縮形式では、元のCDに録音されているデータを切り落として保存してしまいます。
その代わり、データ容量を圧倒的に小さくできるので容量に制限があるiPodなどで保存する場合は非可逆圧縮も有効です。

ただ、パソコンオーディオを極めたい方には音質も大事、データがカットされるのは気に入らないでしょう。
その場合はALACなどの可逆圧縮形式で取り込みデータの劣化を抑えることが有効です。
可逆圧縮も信用ならん!というのならばWAVやAIFFなどの無圧縮形式がよろしいでしょう。

このように、用途によって取り込み設定が変えられるようになれば無駄もなくより満足できると思います。

CDからの取り込み設定

  1. iTunesを起動し、設定を開きます。

    左上のメニューバーより「編集」→「設定」を選択します。

     メニューバー

  2. 「一般環境設定」がでたら「一般」の「インポート設定」を選択します。


    ▲クリックで拡大

  3. ここのインポート設定でCDから取り込む(リッピング)する際に使用するエンコーダーやエンコードの詳細設定ができます。ビットレートやサンプルレートなどを変更できます。

    「オーディオ CD の読み込み時にエラー訂正を使用する」にチェックを入れると、CDから取り込む際にエラーが発生した場合、できる限りエラーの訂正を実行し品質を維持します。代わりにエラーが発生した場合はインポート速度が極端に落ちます。傷が多いCDをインポートする際に使用するとよいでしょう。

    インポート設定

    インポート方法

    エンコーダー

    CDからインポートするときに、どんなエンコーダを使用するかを決めます。
    各フォーマットの大まかな違いは以下の通りです。

    AACiTunes初期設定。MP3の改良版として開発されました。iTunesでは最高320kbpsまでビットレートを上げられます。非可逆圧縮なのでCDデータを一部カットします。しかし、MP3よりカットの仕方が上手なので容量はMP3と同等に圧縮できて、かつ比較してAACの方が高音質になっているようです。
    AIFFWAVと同じく無圧縮フォーマットです。Windowsの無圧縮がWAVに対して、Mac標準の無圧縮フォーマットがこのAIFFです。容量が大きくなりますが、代わりにCDのデータをそのまま記録できます。WAVと比較して、iTunesによるタグ編集をサポートしています。ただし、Windowsで扱う場合はAIFFだと若干汎用性に劣ります。
    Apple ロスレスアップルが開発したロスレスフォーマット(可逆圧縮)です。ALACとも言われます。昔はiTunesやiPodなどアップルの製品でないと再生できなかったのですが、2011年10月よりオープンソース化して仕様が公開されました。これによりApple ロスレスも他の多くのソフトウェアが扱えるようなってきました。可逆圧縮形式のため、圧縮による音質の劣化もなく、かつ無圧縮形式よりデータ容量を抑えることができます。
    MP3言わずと知れた非可逆圧縮フォーマット。音質的には劣化が発生していますが、高レートならばその差が分からないほど。汎用性はどの非可逆フォーマットより優れています。どんなソフトウェア・ハードウェアでも恐らく再生できるでしょう。圧縮率も非常に高く非常に使いやすいフォーマットです。
    WAVWindows標準の無圧縮フォーマット。CDから音楽データをそのまま取り込むため音質の劣化はありません。ただし、iTunesではWAVタグの表示・編集はサポートされていないので注意。(詳細は本記事最後にて)

    各フォーマットにはかなり大きな違いがありますので、ご自分の用途に合った形式でCDからインポートする必要があります。無圧縮は「AIFF」「WAV」ですので、音質の劣化を許さないならばこちら。「ALAC」も可逆圧縮なのでこちらも音質的劣化はなく、しかも容量も抑えられるので便利。

    さらに容量を抑えたい場合は「AAC」や「MP3」がおすすめ。ビットレートの変更できる幅が広く音質と容量を天秤にかけやすいため、用途に合わせやすいのもいいですね。

    ビットレート / サンプルレート / チャンネル の設定

    「AAC」「MP3」の場合は「ビットレート」「サンプルレート」「チャンネル」の設定ができます。
    「設定」の「カスタム」を選んでください。

    カスタム

    カスタム設定

    非可逆圧縮で最高音質を求めたいならばビットレートを「320kbps」にすればOKです。サンプルレートやチャンネルは基本初期値で大丈夫です。ほとんどのCDのサンプルレートは44,100 Hzでチャンネルはステレオであるためです。

    弄るならばビットレートを弄ります。値が大きくなるほど音質が良くなりますが容量も大きくなります。逆に小さくすると音質が犠牲になりますが容量が少なくなります。

    ビットレート

    この分野でよく耳にするビットレート【Bitrate】とは、1秒間当たりに転送されるデータ容量を示す単位です。データ量の単位は「ビット【bit】」を使いますので、「ビット毎秒【bit per second:bps】」とも呼びます。この値が大きければ大きいほど、より多くの情報量を転送できることになります。音楽で言えば、音質の改善に繋がります。

    読み方ですが、例えば「320kbps」だと、「320 キロ ビット パー セコンド」または「320 キロ ビット毎秒」と読みます。因みに、「Bps」と大文字にすると「バイト パー セコンド」「バイト毎秒」となり意味が変わってしまうので、小文字を使うのが一般的です。

    iTunesでは、「MP3」だと「16kbps ~ 320kbps」、「AAC」だと「64kbps ~ 320kbps」が指定できます。因みに、通常の音楽CDは「1411kbps」です。WAV形式、AIFF形式で取り込むとこちらになります。

    可変ビットレート(VBR)

    可変ビットレート【Variable Bitrate】とは、音声データが少なくなる場面(音がなくなったり小さくなったりする場面)ではビットレートの値を下げ、多くのデータを必要とする場面ではビットレートの値を上げることで効率よく圧縮する方法です。ビットレート値が一定でなく、状況に応じて可変させる方式です。因みに、ビットレートが常に一定なデータを固定ビットレート【Constant Bitrate:CBR】といい、チェックを外すとこちらで圧縮されます。一般的にVBRにチェックを入れると効率的な圧縮ができることで、同容量のCBRより品質がよくなります。

    High Efficiencyエンコーディング

    AACには「High Efficiencyエンコーディング」というチェックも付けられます。通常「HE-AAC」と呼ばれます。低ビットレート(64kbpsなど)に最適化された圧縮方法です。低ビットレートでの取り込みを考えている場合はこのHE-AACで取り込むと通常のAACより音質が改善します。ただし、再生ソフトや機器がHE-AACに対応している必要があります。最近は対応ソフトも商品も多くなったので古いものでなければ多分大丈夫です。

    また、iTunesでの最高値は「80kbps」なので「192kbps」などの高レートでは使えないことに注意。あくまで低ビットレート用に最適化された圧縮方法です。

    音声用に最適化

    「音声用に最適化」は、英語教材などに最適化された圧縮方法を使用するために使います。いわゆるリスニング用です。このため、音楽CDからインポートする場合は通常必要ありません。逆に不自然な圧縮方法をされてしまい音質がより劣化しやすくなります。

    「WAV」「AIFF」「Apple ロスレス」はビットレートが固定になるので「サンプルレート」「サンプルサイズ(ビット)」「チャンネル」が変更できます。こちらは特に理由がなければ自動で問題ありません。基本的に無圧縮無劣化で取り込むのが目的なので色々弄ると逆に劣化することもあるからです。

    設定

    設定が終わったらすべて「OK」にして設定を保存します。これで完了です。
    次のインポートから設定が反映されます。すでにパソコン上へ保存されている音楽データには手を加えませんので注意してください。

    すでに取り込み済みの音楽データを変換したい場合は下記記事を参考にどうぞ。

以上、設定画面を自分で出して設定する方法を紹介しました。
後はCDを入れて「インポート」することで音楽を指定した形式でエンコードしながらパソコン内に取り込むことができます。

CDをインポート

どれを選べばいいの?

本当はご自分で色々考えて最適なものをご自分で探し出すのがよいと思うのですが、流石にそれでは記事にならないので目安を書いてみます。あくまで目安なので納得のいく設定はご自分で探してみてください。

とにかく音質重視!WAV,AIFF,Apple ロスレス のいずれかを選びましょう。WAVはWindows標準の無圧縮フォーマットなので扱いやすいのですが、iTunesはWAVファイル本体に対するタグ編集をサポートしていない(詳細は後述)ので私からはAIFFかApple ロスレスをおすすめします。Apple ロスレスならば音質の劣化なしに容量もある程度抑えてくれる(MP3やAACほどではない)ので便利です。ただし、AIFFやApple ロスレスはまだ再生できるソフトや機器に制限があるので注意してください。Apple製のものならば基本大丈夫です。
容量も抑えたいけど音質も削りたくないMP3,AAC のビットレート320kbpsがおすすめです。非可逆圧縮なので音質的には劣化しているのですが、320kbpsもあれば正直WAVなどと比較しても音の違いなんて普通の環境ではわからないです。容量も抑えられるので一石二鳥です。
音質はある程度犠牲になってもよいから容量を抑えたいMP3,AAC のビットレート192kbpsくらいが限界かなと思います。どこまで許容できるかは個人差がありますが、ほとんどの人はこの192kbpsくらいで圧縮音源としての音質劣化を聴き取ることができます。私が容量と音質の天秤にかけられるのはここが限界です。人によっては128kbpsでも十分ということもありますので、実際に聴いてみて許せる範囲を探ってみるとよいでしょう。ちなみに、AACはMP3と比べて低ビットレートでも品質を維持しやすいようです。
インポート時間が短い方がよい圧縮フォーマットは圧縮処理が入るので必然的にインポート時間が長くなります。インポート時間を気にする場合は「WAV」「AIFF」を使用すると良いでしょう。

各フォーマットのインポート時間と容量を計測

各フォーマットによってどのようにインポート時間が変わるのか計測してみました。
計測環境は以下の通り。

  • CPUは Intel Core i7-2700K [3.50GHz/L3 Cache 8MB/QuadCore]
  • 光学ドライブは「Blu-ray; LG BH10NS38」
  • 「フォルクスリート2」の1曲目「暁の欠片」をCDからインポート。4分29秒の曲です。
  • 保存先は「Crucial m4 CT128M4SSD2」というSSDです。

分かる人には分かりますが、おおよそ「CDとか動画とか仕事ができればいいかな」というライトな方のパソコンとはかけ離れた高性能パソコンですので、これから書くインポート時間は相対的な「目安」にしかならないことをご了承ください。
インポート時間は光学ドライブやCPUなどの機械自体の性能にも大きく左右されます。

/設定インポート時間容量
iTunes Plus
(AAC)
256kbps,44.100kHz,16bit,VBR15.9秒8.90 MB
AAC320kbps,44.100kHz,VBR15.7秒11.3 MB
AIFF1411.20kbps,44.100kHz,16Bit,2ch16.9秒45.2 MB
Apple ロスレス1064.16kbps,44.100kHz,16Bit,2ch15.0秒34.1 MB
MP3320kbps,44.100kHz,16Bit,2ch,VBR(最高音質)15.3秒10.2 MB
MP3 (高音質)192kbps,44.100kHz,16Bit,2ch,CBR15.3秒6.16 MB
WAV1411.20kbps,44.100kHz,16Bit,2ch14.8秒45.2 MB

結論:大して変わりませんでした(笑)

一応、各計測値は3回インポートしたときの平均値を出しています。この中で一番時間がかかったのがAIFFなのがちょっと意外。やはり無圧縮とは言えWindowsでは扱いにくいのでしょうか。詳しくないので不明です。(ただの誤差の可能性も)
どの形式でも18倍速前後で取り込んでいたので、時間がかかるとしたらもちろんエンコード時なのですが、このパソコンの性能ならばほとんど差もないようです。実験の意味がない(笑)

ただ、傾向としてはやはり圧縮処理の入る「AAC」「MP3」の方がより時間がかかるということはありそうです。
また、エラー訂正機能を使うと傷が多いCDでエラーを訂正してくれますが、場合によってはかなりインポート速度が遅くなることもあるので注意してください。

AIFFとWAVの容量が同じなのは、中に入っているLPCMの「サンプルレート」と「ビットレート」が同じだからです。
(※実際はほんのちょっとだけちがう。ただ、音質に影響する部分ではないのでご安心を)
つまり、内容的にはほぼAIFF=WAVです。ヘッダ部分とかエンディアンとかサンプリング周波数の記録方式とか細かいところでちょっとずつ違いますが、これが音質に影響するのかというと無いと思います。音質の認識は「AIFF=WAV」で大丈夫です。あとは再生に対応しているかどうかを気にすればOKです。大まかな理論ではどちらもCDに記録されたものと全く同じデータを出力するはずですからね。

もちろん、取り込み設定でサンプルレートを変えたりすれ容量も音質も変化しますのでここは注意。

WAV と AIFF のタグについて

コメントにてご指摘いただいたのでここで修正、追記いたします。

音楽ファイルには「タグ」と呼ばれるメタデータを追加することで「アーティスト名」や「アルバム名」などを記録できるようになっています。音楽ファイルに対して、その音楽の情報を追記できるので大変便利な機能です。ただ、少し面倒なことにこれらタグにも幾つか種類「規格」が存在します。

MP3 や AAC などは音楽鑑賞用としてよく利用されているので、これらタグの規格もわりと汎用性の高いものが利用されています。iTunes以外の多くのソフトウェアでも MP3 や AAC のタグを正しく読み込み、表示や編集が可能かと思います。

WAV と AIFF にもフォーマットの規格としてタグ情報を付与することができます。ただ、MP3 などのタグの規格とは全く異なるものが利用されています。AIFF は iTunes と同じ Apple が開発したファイルフォーマットなので、iTunes でのタグ付けがサポートされています。問題は Windows 標準の WAV ファイルで、WAVタグの表示や編集は iTunes でサポートされていません。

foobar2000でWAV変換
▲クリックで拡大

WAVタグが入っているWAVファイルをiTunesに読み込ませてみるとタグ情報がなくなる。
▲2つの画像はクリックで拡大

私が利用している foobar2000 というプレイヤーで WAV ファイルを作ってみます(画像 左)。すると、タグ(Tag)のバージョンとして「RIFF ID3v2.3」というものが使われており、しっかりアーティスト情報などが記録されていることが分かります。(因みに、WAVタグとしてのID3はめっちゃマイナーであまり利用はされないです)

ですが、これをiTunesへ読み込ませると、ほぼすべての情報が表示されなくなりました(画像 右)。他のリッピングソフトやプレイヤーで作ったタグ入りのWAVファイルは、iTunesで読み込ませるとタグ情報を表示できないことに注意してください。

iTunesで入力できるWAVへのタグはファイル本体へ追記はしていない

先ほど他のソフトで作ったWAVをiTunesで読み込むとタグ情報が表示されなかったのですが、ここへ再度入力することはできるようになっています。iTunes上ではWAVでもタグの入力ができるようになっています。

しかし、iTunes上でWAVデータにタグ情報を入力しても、実は本体のWAVファイルには全くタグ情報は追記されていません。

iTunes上でWAVにタグ情報を入力しても、実は本体のWAVファイルには全くタグ情報は追記されない。
▲クリックで拡大

これは、iTunesのライブラリにのみアーティストなどの情報が追加されただけなので、iTunesの中でのみ利用できる情報になっています。本体のWAVファイルにはタグ情報など追記されていないので、このファイルを他のWAVタグ対応のプレイヤーで読み込ませてもタグがないので表示することはできません。

ただし、iTunes上のWAVファイルにタグ情報を入れて、iTunes上で別の形式、例えばMP3へエンコード(変換)すると変換後のファイルにはタグ情報が追加されます。あくまで、WAVファイルの扱いが特殊になっているので注意してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

iTunesでの音楽取り込み、多くの方がやっていることだとは思いますがここまで気にしたことはないという方も多いでしょう。逆に言えば気にする必要もないほど楽にインポートできるという性能の高さ・扱いやすさもiTunesの魅力なのでしょう。

ただ、折角扱うのであれば自分が納得する設定で取り込みたいと思わないでしょうか。
今回はそのような方に向けた記事です。音質重視なのか、容量重視なのか、互換性重視なのか、目的によってインポートする形式を変えてみると満足いく音楽ライフを送れることでしょう。

▼ 更新履歴

  • :画像を最新のiTunesへ差し替え、一部書き直し
  • :初出
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